― 国際大会への帯同と教育的視点からの学び ―
2025年6月、当チームは 3×3 FIBA U16スイス大会に出場するため、スイスへの遠征を行いました。
本遠征では、選手の国際経験だけでなくコーチの育成の一環として「海外研修プログラム」も同時に実施しました。
本レポートでは、その研修内容を整理し、記録として今後のコーチング育成・チームの教育的展開に活用することを目的としています。

研修の背景と目的
近年、国際大会や海外遠征を通じた選手の成長は注目されていますが、それと同等に重要なのが「指導者の成長」です。
特に若手アシスタントコーチが現場で多様なイレギュラーな状況に対応する力や、選手にとって最適な環境を自ら作り出す方法を実践的に学ぶ機会は限られています。
そこで今回、若手コーチ達をただ帯同させるのではなく「研修」という側面を意図的に設けて海外という環境に参加してもらいました。
若いうちに海外をしっかりと自らの目で見て感じてほしいという海外を経験しているヘッドコーチの考えと同じく、言葉も文化も異なる中で、自ら考え動く経験こそがコーチとしての対応力・視野・柔軟性、そしてコーチとしてのタフさを育てると信じているからです。
今回の海外研修では、以下を主な目的としました。
• 国際的な舞台での指導者としての役割と帯同スキルの向上
• 異文化・多言語環境におけるチャレンジと様々な対応力の向上
• 海外から見た日本、日本から見た海外の理解と、バスケットボールの文化・歴史の理解と深化
• 「人を育てるコーチ」としての感性・視野の拡張
研究内容の記録

以下は、遠征期間中に実際に経験・実践した研修項目です。
1.海外環境下でのチーム帯同
- FIBA主催の大会にてチームの帯同・サポートを担当
- 日本→スイス間の移動、空港での対応、現地ホテルでの対応や調整など海外特有の状況におけるチームマネジメントを体験。
- 雨天、試合遅延、スケジュール変更など数多くのイレギュラー事案に即時対応。柔軟性と判断力の向上。
- 世界各国の選手との対戦やコーチとの交流、選手同士の交流を促す潤滑油的な事を通じて、お互いの国際交流という目的を達成させ、他国のコーチからもバスケットボール愛と知識を学ぶ。
2.FIBA施設・講義での学び
- FIBAミュージアムでのバスケットボールの歴史に触れる
- 3×3メインコートの見学、選手の練習のサポート
- FIBA職員による貴重な講義への参加
3.スイス・バスケットアカデミー視察
- 現地アカデミーでの育成現場を見学し、練習構成や指導哲学に触れる
- コーチ同士の交流を通して指導言語・選手との接し方を比較・考察
4.チームマネジメント・選手対応
- 都度起こる事柄への即時対応
- 毎日のランニングやトレーニングを通じた日常的関わりを増やしながらコンディショニングを学び、選手にも意識づけをさせる。
- 「選手が安心できる安全な環境」を意識した環境づくりを実践
- 選手の気持ちに常に寄り添いながら“楽しさ”と“成長”のバランスを保ち、選手がのびのびと自分を出してチャレンジできる環境をサポート
- 海外で全選手、コーチが最高だったと思える空間づくりの実践
5.国際理解・多文化学習
- ジュネーブでの国連欧州本部(UNOG)、ユニセフ、赤十字国際委員会(ICRC)、壊れた椅子モニュメントなどを見学。アブダビではモスクを訪れイスラム教の文化にも触れた
- 現地ガイドによる解説を通じ、国際協力・平和・人道支援に関する理解を深めた
- 観光=娯楽ではなく、「異文化を学ぶ」視点での行動を実施
- コート外での世界を知るという経験がコート内での選手を知ること、助けることに繋がり、指導者としての視野や表現の幅を広げる時間となった
- 選手と共に「日本ではできない事を体験しよう」をテーマに掲げ、現地の人とのコミニュケーション、現地の食事への挑戦などを積極的におこなった
研修を通して得られたこと
本研修は、単なる“遠征同行”にとどまらず、初めて海外に出るコーチとしての大変な活動の中、役割と責任を現地で深く体験する貴重な機会になった事だと思います。
「こちらはまたコーチレポートとして実際に研修に参加したコーチの中から1名のレポートを後日、皆様にも公開いたします」
今後の活用と展望
今回の海外研修は、全てのコーチの現場力・国際理解・指導の感性を高めるうえで非常に有意義な内容となりました。
今後はこの経験をチーム内研修プログラムや若手指導者育成に活用し、国内外を問わず「人に寄り添い、可能性を引き出す」指導者の育成に繋げていきます。
また、今回の取り組みを通じて、若手コーチにとって「海外=遠い世界」ではなく、挑戦すべき現実的な成長機会であることを、改めて実感しました。
関わってくれる全ての人に「ここでしかできない特別な経験を」とは常に考えています。それが私たちがスペシャルでいれる理由です。今後もこのような育成の機会を継続的に設け、選手と同様に「指導者も一緒に育つ」チームづくりを進めていきます。
また、この経験を今後は多くの人にシェアする事ができるように今後も活動をして参ります。