こんにちは。
Sports Intersectionの佐藤です。
Sports Intersectionは「FIBA OPEN 3X3 in Switzerland 2026」への出場に伴い、スイス遠征を行いました。
私は大学生コーチとしてこの遠征に帯同してきました。
近年、日本バスケットボール界では日本代表の国際大会での活躍や、育成年代における海外挑戦の機会が増加しています。
一方で、選手の成長を支える指導者にも、世界基準の指導方法や価値観を理解し、自身の指導観を更新していくことが求められています。
私自身、初めての海外ということもあり、期待よりも不安のほうが大きかったかもしれません。
しかし、現地で待っていたのは、想像を超える素晴らしい経験と景色の数々、そして子どもたちの目覚ましい成長でした。
今回の遠征で、私が最も大きな学びとして得たのは、
「選手はコート上のプレーだけでは理解できない」
ということでした。
普段の練習では見えない日常生活や人との関わり方、困難への向き合い方に触れたことで、選手を見る視点が大きく変わりました。
もちろん、世界基準のバスケットボールや異文化に触れた経験も貴重な財産です。
しかし、それ以上に私の指導観を変えたのは、「人を育てるとは何か」を改めて考えさせられたことでした。
今回は、そんな一週間の学びを振り返ります。

【遠征がもたらした「6つの価値」】
今回の遠征では、指導観を大きく変える6つの学びがありました。
- 世界の舞台でアシスタントコーチとしての経験を積めたこと
- 言葉も文化も違う環境に身を置いて指導したこと
- 世界基準のマインドセットや環境に触れられたこと
- バスケットボールの歴史を深く理解し、その奥深さを実感したこと
- コート外の日常から、選手の新たな成長を発見できたこと
- これまでの自身の指導観を、大きくアップデートできたこと
【完璧でなくていいという世界基準】
遠征の序盤、選手たちは海外という環境や英語でのコミュニケーションに対して課題を抱えていました。
そんな中、FIBA本部研修にて、唯一の日本人職員である北村さんから以下の言葉をいただきました。
「ここに住んでいるほとんどの人にとって、英語は第二言語。正しい文法よりも、伝えようとする気持ちが大切なんだよ」
この言葉は、選手だけでなく私自身にとっても大きな学びとなりました。
この「完璧でなくていい」という世界基準の考え方に触れたことで、大会当日には、海外の選手に対しても物怖じせず、自分から積極的にコミュニケーションを取りに行く姿が見られました。
今回の経験から、異文化交流において重要なのは語学力だけではなく、「相手に伝えようとする姿勢」であることを強く実感しました。


【異文化体験:日本での「当たり前」が通用しない環境】
大会終了後は、スイスに加え、フランス、オランダへと渡り、異文化体験を行いました。
同じヨーロッパであっても国ごとに全く違った雰囲気があり、それぞれの特徴を肌で感じることができました。
- その国の食文化を五感で楽しむ
- 洗濯やショッピング、さらには「現地での散髪」といったローカルな生活行動に挑戦する
- 現地の人と、英語でのコミュニケーションを取る
- 日本では見られない現地の美しい街並みを楽しむ


私たちは「日本ではできないこと」を現地で積極的に行いました。
「何が必要か」「どこへ行けばよいか」「どのように伝えればよいか」を自ら考え、行動することが求められました。
その結果、自分たちで情報を収集し、課題を解決しようとする主体的な行動が多く見られるようになりました。
このような経験は、競技力だけではなく、人間的な成長や自立心を育む貴重な機会になったと考えています。


【コート外から見えた選手の姿:指導に不可欠な「人間性」の把握】
約1週間、バスケットボール以外の日常を長く共有したからこそ、普段の短い練習だけでは決して見えてこなかった、競技以外の場面での選手の様子を観察できました。
「役割」の発見
現地での移動時や生活面において、周囲の状況を察し、さりげなく仲間をサポートする高いリーダーシップや気配りを見せてくれたこと。
「強み」の再定義
慣れない海外の食事や生活、言葉の壁に対しても物怖じせず、それすら楽しんでしまうタフなメンタル。この精神性が、大会当日のコート上での強さ(動じないプレー)に直結しているのだと再定義できました。
「弱み」へのアプローチ
コート上では見えない、日常生活における繊細な一面や、意外な姿へのアプローチ。
これらは普段の練習を指導するだけでは決して見えてこない、その選手の「人間性」の核となる部分です。
バスケットボールの技術指導において、こうした「人間性」の把握とそれに応じたアプローチは不可欠であり、これこそが本遠征におけるコーチとしての最大の価値になったと感じています。

【さいごに】
今回のスイス遠征を通して、世界基準のバスケットボールに触れるだけでなく、コーチとして求められる視点や役割について多くの学びを得ることができました。
特に、「コート上のプレーだけで選手を理解したつもりになってはいけない」ということを強く実感しました。
選手の日常生活や人間関係、困難への向き合い方を理解することは、その選手のプレーや思考を理解するための重要な要素であり、より効果的な指導につながると考えています。
当初は不安だらけだった初めての海外遠征。
しかし蓋を開けてみれば、完璧な英語を話せなくても笑顔で繋がれる楽しさを知り、世界のトップ基準に触れ、最後には現地で散髪し、堂々と注文をこなすほど、人として成長した子どもたちの姿がありました。
世界を経験したからこそ見えた「バスケットボールの本質」と「選手を育てるということ」
この学びを日々の指導へ還元し、一人ひとりの可能性を引き出せるコーチであり続けたいと思います。
そして、これからも学び、挑戦し続ける指導者でありたいと考えています。


