この経験のために、全国各地から志を持った選手たちが集結した「特別編成チーム」で挑んだ遠征。
舞台は韓国。世界数カ国から強豪クラブチームや選抜チームが集まる国際大会。
選手たちの成長、チームの結束、そしてバスケットボールが繋ぐ熱量。すべてが想像を超えていた濃密で最高な3日間。
今日は、そんな最高の遠征を支えるために、私がコーチとしてどう動き、何を感じたのか。少し裏側の話を書きたいと思います。
【すべては選手のために】
私の役割はシンプルかつ重大です。
「3日間全力でバスケをさせ、楽しませ、成長させ、そして安全に帰国させること」
このミッションを遂行するために、今回はアシスタントコーチ(AC)として、徹底的に「環境」を整えることに注力しました。
・HCが「戦術」に没頭できる舞台を作る
ヘッドコーチ(HC)は、試合中、チーム全体の指揮と勝利への采配に100%集中する必要があります。
そのために、スケジュールの把握と伝達は私の仕事。ここが滞ると、選手もコーチも試合に入り込めない。
「次はどう動く?」というノイズを消し、全員がバスケに集中できるフローを作る。これが最初の仕事です。

・限られた時間での「最適解」のアップ
選手たちのアップも担当しました。
海外遠征は、いつも通りの環境ではありません。
アップの時間、ボールの数、場所。すべてが限られた中で、いかに短時間でトップパフォーマンスを引き出すか。
・全身を温めるダイナミックな動き
・内側から身体を整える体幹への刺激
・限られたボールを使った感覚の確認
その時々の状況における「最適解」を瞬時に判断し、選手を動かす。
今回はU15とU13の2カテゴリー。試合時間も違えば、身体の温まり方も違う。それぞれのタイムラインを管理し、ベストな状態でコートへ送り出すことに全力を注ぎました。

【ベンチワークと、特別な1試合】
試合が始まれば、HCはチームを勝たせるための戦術と、コート全体のマクロな視点に集中します。
だからこそ、私は「個」へのミクロな視点を持ちます。
HCがチームとしてやるべきことを伝えている時、私は交代してベンチに戻った選手や、これから出る選手の「心」にアプローチします。
「さっきのあの場面ここが良かった!次はもっとここうしてみよう!」といった、HCが伝える時間がない細かなフィードバックや、次のプレーへのモチベーションを上げるための個人的な声掛け。
また、良いプレーには選手と同じ熱量で叫び、盛り上げ、褒める。
この役割分担があるからこそ、チームは組織として最大化します。


今回、私にとって特別な瞬間がありました。
遠征中、U13の本戦とU15のエキシビションマッチの時間が被る場面があり、U15のHCを担当することに。
今回のチームとしての戦術を徹底させつつ、「楽しむこと」と「目的を持つこと」を両立させるよう選手たちを導き、結果は勝利。
初日の最終試合だったこともあり、チームとしてすでに強いまとまりを感じる素晴らしいゲームでした。
このメンバーを指揮できる喜びとプレッシャー、その両方を噛み締めた最高に楽しい時間でした。

それにしても、今回の選手たちのレベルは本当に高かった。
初めて組む仲間もいる中で、戦術理解度も個の能力も高く、何より「バスケットボール」という共通言語で完全に意思疎通ができていました。
3日間で本当の「チーム」になっていく姿を見て、バスケの可能性に震えました。

【コートの外での役割】
コーチの仕事はコートの中だけではありません。
広報担当のコーチが素晴らしい映像を撮ってくれていますが、私はまた違った視点でカメラを回しました。
ベンチのリアルな表情、試合に臨む緊張感、ふとした瞬間の笑顔。親御さんに「現場の空気」を届けるため、多角的な視点で記録を残します。
そして、食事の確保も重要な「裏の仕事」。
お腹を満たし、次のパフォーマンスに繋げ、何より異国の食事を楽しんでもらう。
水の手配からお店の予約、買い出しまで。選手たちは韓国の辛い料理にも果敢にチャレンジして、たくさん食べていました。そのたくましさがコートでの強さに直結すると感じた瞬間でした。



【もう一つの重大ミッション】
今回、スケジュールの都合で「3日帰国組」と「4日帰国組」に分かれるという編成でした。私の最後の任務は、3日帰国組の選手たちを責任を持って無事に日本へ送り届けること。
慣れない土地での移動は、一筋縄ではいきません。地下鉄の路線を精査し、時には現地の方に道を尋ねながら選手を連れて進みました。


ここで生きたのが「スイス国際大会」での経験でした。あの時の経験が、今回の私の背中を支えてくれました。今までのコーチ経験すべてが、この3日間の決断に繋がっていたと強く実感しています。

【3つのチャレンジ、そして達成感】
この遠征の目的は「試合に勝つこと」だけではありません。
私たちが掲げたテーマは明確でした。
・バスケットボールでのチャレンジ
・生活や人間力、思いやりへのチャレンジ
・国際交流へのチャレンジ
日本を出て、いつもと違う環境で「自分はどこまでできるのか?」「世界から見た自分とは?」を問う。
自分の殻を破り、自分で考えて行動する。
結果として、選手たちはこれを完璧にやり遂げました。
「楽しかった!」「こんな経験最高すぎた!」「もっとみんなといたかった!」
キラキラした目でそう語る選手たち。
そして、無事に日本へ送り届けた時、親御さんからいただいた「参加させてよかった」という感謝の言葉。
責任を持って彼らを預かり、無事に返し、そして一回り大きくなった姿を見せられたこと。これ以上の喜びはありません。


【すべてのコーチへ】
今回の遠征を通じて、改めて確信したことがあります。
それは、国際経験は、コーチとしての判断力・責任感・余裕を劇的に変えるということです。
言葉も通じない、文化も違う環境でチームをマネジメントする。その過程で得られる「何が起きても対応できる」という余裕は、日本国内の指導現場でも必ず生きてきます。
子どもたちが目を輝かせて試合に臨み、終わった後に国境を超えて仲良く喋る。
この景色を自分たちが作れているという事実は、誇りであり、純粋に嬉しいことでした。
すべてのコーチの方々へ伝えたいです。
海外に出て、その空気に触れて欲しい。
自ら海外で挑戦し、文化の違いの中でチームをマネジメントする経験は、今後の人生で間違いなく役立ちます。その価値は計り知れません。

【この挑戦を支えてくれた全ての方へ】
最後に、この素晴らしい遠征を実現させてくれたすべての方々へ感謝を伝えたいと思います。
まずは、今回の遠征に参加し、全力で戦い抜いてくれた選手たち。 彼らのキラキラした目と、日に日にたくましくなっていく姿に、私自身が一番のエネルギーをもらいました。
そして、大切なお子様を信じて預けてくださった保護者の皆様。 支えてくれたスポンサーの皆様。皆様の温かいサポートとご理解があったからこそ、私たちはコートの上で100%の情熱を注ぐことができました。本当にありがとうございました。
また、このような貴重な機会を与えてくれたチーム、そして共に戦ったコーチ陣。 この環境があることは決して当たり前ではありません。このような素晴らしい環境で、最高のコーチチームの一員として挑戦させていただけたことは、私の財産です。未熟な私を導き、信頼して役割を任せてくださったことに、深く感謝いたします。
さらに、日本で待っていてくれる普段のチームの選手たち。 彼らが日々努力し、私をコーチとして成長させてくれているからこそ、今の私があります。そして、これまで私のバスケットボール人生で出会ってきたすべての人。 その一人ひとりの出会いが、今の私のすべてとなっています。
そして何より、バスケットボールという素晴らしい競技に。
言葉の壁を超え、国境を超えて、これほどまでに人を熱狂させ、結びつけ、成長させてくれるこのスポーツに出会えたことに、心から感謝します。
この遠征で得たすべての経験を糧に、また皆さんと共に成長し続けていきたいと思います。
ありがとうございました!

