【スイス遠征コーチ研修レポート】

2025年6月、当チームはFIBA 3×3 スイス大会への出場に伴い、スイス遠征を実施しました。私はコーチとして初の海外遠征に帯同し、本遠征で指導者としての視野を大きく広げる経験を得ました。

本レポートは、私がスイス遠征に帯同し、実際に現地で見て・感じて・学んだことを、若手コーチとしての視点から綴った記録です。


目次

1.海外遠征化でのチーム帯同

本遠征では、日本からスイスへの移動を含む長距離移動や現地での宿泊・生活環境の調整に加え、雨天や試合遅延、スケジュール変更など、多くのイレギュラーな状況に直面し、その都度柔軟かつ迅速な判断がコーチとして求められました。

また、3×3の試合も含め、毎日のランニングやトレーニングを通じた選手たちとの日常的な関わりを通じて、“楽しさ”と“成長”のバランスを保ちながらコンディショニング支援を行い、身体的および精神的な意識づけをさせました。

この遠征を通して、多くの選手の新たな一面を知ることができました。頑張り方、ちょっとしたクセや本音。そういった”らしさ”を知ることで、一人ひとりとの向き合い方も自然と変わっていきます。関係性が深まるほど、選手の可能性にも新たに気づくことができる、そんな実感のある時間でした。私たちは日常的に多くの選手を抱えていますが、一人ひとりと深く関われる機会は限られています。今回の経験は、「もっと選手を知らなければならない」と強く思わせてくれる時間でした。

「日本ではできないことを体験しよう!」をテーマに、チームみんなで挑戦を続けたこの遠征。振り返れば、コートの内外で学びと成長に満ちた、かけがえのない時間でした。


2.成長する選手たちの姿

日々を通じて印象的だったのは、選手たちの変化です。当たり前に使っていた日本語が通じないという環境に、選手たちは最初こそ戸惑いながらも、次第に「伝えようとする姿勢」を身につけていきました。言語の壁があるからこそ、ジェスチャーや表情、そして勇気を持って話しかける力が育まれていったのだと思います。また、たった一週間という短い時間でも、日本語以外の言語に触れる中で、少しずつ英語を話すことにも自信を持ち始めた選手もいました。机の上での勉強では得られない、生きた学びがそこにはありました。

異なる言語や文化を持つ選手に臆することなく自ら声をかけ、交流を深めていく姿。

それはまさに“挑戦すること”の体現でした。

試合で競い合った選手たちが、試合後には言語の壁を超えて笑い合う、そのチャレンジ精神は確実にチーム全体に波及し、勝敗以上に大切な「人とのつながり」や「自ら踏み出す勇気」を選手たちは掴み取ったように感じます。SNSを交換し、やり取りをする姿も見られ、彼らの姿からは、コーチである私自身も大きな刺激を受けました。

ある選手に「コーチより会話できたよ」と声をかけられる場面も。

私自身も英語力を高めていかなくてはと痛感。伝えようとする気持ちさえあれば、言葉の壁は越えられる、そんな体験が詰まった一週間でした。

また、スイスのバスケットボールアカデミーでは現地指導者の考えやアプローチに触れ、指導の引き出しを増やす貴重な経験となりました。


3.FIBAでの出会いと学び

FIBA本部では、唯一の日本人スタッフである北村氏から、FIBAについてのお話や、日本バスケの国際的な課題、世界で活躍するための姿勢について直接お話を伺う機会に恵まれました。

「人と違うことを恐れず、自分の信じた道を貫く」

そんな言葉に、自分の価値観や将来のあり方を深く考える時間となりました。

バスケットボールを通じて育ち、今はその指導に携わる自分が、FIBAの本拠地で現地の方々と語り合うという経験は、一生忘れることのない財産です。メインコートで選手と一緒にバスケもしました🏀


4.海外での実体験と文化への挑戦

ジュネーブにある国連、フランスやアブダビのモスクなどの伝統的な建築や風景、宗教施設なども訪れ、価値観や文化の違いを肌で感じることができました。自分の中にあった“常識”が、世界では一つの選択肢でしかないことを実感し、世界の広さと多様性に心が大きく開かれた感覚を覚えました。

そして一つ、忘れられないエピソードがあります。それは、スイスで男子選手2名と“現地で髪を切る”というチャレンジをしたこと。英語も通じない中で、ジェスチャーだけで自分の希望を伝え、髪を切ってもらいました。こんな大胆なことができたのは、目の前で選手たちが日々挑戦を続けていたからであり、彼らの姿が私の背中を押してくれました。仕上がりに自分でも驚くほどのイメチェンでしたが、それこそが“海外の面白さ”であり、“挑戦の魅力”だと実感しました。


5.感謝と今後

今回の遠征を通して、まず何よりも、この機会を与えてくれた去年の選手のみんな、コーチの方々に心から感謝しています。

そして、共に戦い、成長してくれた選手たち、またその選手たちを支えてくれた保護者の皆様、スポンサーの方々、応援してくれた方々に心より感謝申し上げます。

このチームだからこそ実現できた経験であり、この仲間とだからこそ共有できた感動でした。私自身、改めて「このチームでバスケットボールに関われて本当によかった」と感じた瞬間でした。

初めての海外遠征は、選手にとっても、私にとって“人生を変えた時間”でした。すべてが学びであり、すべてが新鮮な体験でした。想像以上に刺激的で、あっという間に過ぎていく濃密な時間、言葉では言い表せないほどの価値がありました。


最後に

最後まで目を通していただき、本当にありがとうございました。

初めての海外遠征という特別な体験を、こうして文章にまとめる中で改めて気づいたことや感じたことがたくさんありました。

読んでくださった方にも、この経験の一端でも伝わっていたら嬉しいです。

この遠征で得た学びを、これからの活動にも還元しながら、引き続き前向きに挑戦していきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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